収益の計上時期は一定のルールを継続適用する必要がある
売上などの営業収益の計上の時期は、原則として、商品の売上のように物の引渡しを要するものは「引渡しのあった日」、設計や技術提供のように役務の提供を要するものは「役務提供の完了した日」となります。
収益計上の時期
取引の形態 | 引渡しまたは役務提供完了の日(収益計上時期) |
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(1)商品等の販売の場合 | [1] 商品等を出荷した時(出荷基準) [2] 相手方が検収した時(検収基準) [3] 取引対象物を相手方が使用収益できることとなった時(使用収益開始基準) [4] 検針等により販売数量を確認した時(検針基準) |
(2)請負の場合 | [1] 物の引渡しを要する場合→目的物全部を引渡した時 [2] 物の引渡しを要しない場合→役務の全部を完了した時 |
(3)建設工事等の場合 | [1] 作業を終了した日 [2] 相手方の受入場所に搬入した日 [3] 相手方が検収を完了した日 [4] 相手方において使用収益ができることとなった日 |
※ 取引の形態ごとに数種の収益計上基準がある場合は、選択した基準を継続適用しなければなりません。
収益計上時期の特例
取引の形態 | 引渡しまたは役務提供完了の日(収益計上時期) |
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(1)一定の要件を満たす請負工事 | 工事進行基準により工事進行割合に応じた金額を各事業年度の収益とする |
(2)一定の要件を満たす長期割賦販売 | 延払基準により賦払金割合に応じた金額を各事年度の収益とする |
(3)株式等有価証券の譲渡 | 約定日(取引日)の属する事業年度 |
※1.請負工事の要件
[1] 工事期間が1年以上にわたるもの
[2] 請負対価の額が10億円以上であること
※2.長期割賦販売の要件
[1] 賦払回数が3回以上であること
[2] 賦払期間が2年以上であること
[3] 頭金の額が販売価額の3分の2以下であること
その他の収益計上時期
取引の形態 | 引渡しまたは役務提供完了の日(収益計上時期) |
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(1)受取配当金 | 配当の効力を生ずる日。ただし継続適用を条件に支払を受ける日 |
(2)賃貸借契約に基づく使用料(受取家賃等) | 契約による支払期日 |
(3)敷金・保証金等で返還不要の部分の金額 | その返還をしないこととなった日 |
(4)受取損害賠償金 | 支払を受けることが確定した日 |
土地等の引渡しの判定
収益計上の時期は「引渡し日」を原則としていますが、土地・借地権の譲渡の場合はその引渡しの日が明確で無い場合があります。そこで、次のうちいずれか早い日を引渡し日とすることができます。
- 代金のおおむね50%以上を収受するに至った日
- 所有権移転登記の申請(登記申請に必要な書類の相手方への交付を含みます)をした日
また、工業所有権・ノウハウ等の譲渡、委託販売、試用販売などの収益計上時期について、それぞれの取扱いがありますのでご注意ください