売掛金等の債権が回収不能となったとき(貸倒損失)
得意先等に対する売掛金や貸付金などの金銭債権が、債務者の資力喪失などにより回収が不能(貸倒れ)になった場合には、その貸倒れとなった事業年度において貸倒損失として損金算入ができます。

貸倒損失となる事実の種類
貸倒損失の事実の態様 | 対象となる債権 |
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[1]法律上の貸倒れ | 金銭債権 |
[2]事実上の貸倒れ | 金銭債権 |
[3]形式上の貸倒れ | 金銭債権のうち売掛債権※ |
※売掛債権とは、商品の販売や役務提供などの営業活動によって発生した売掛金や未収入金をいい、固定資産の譲渡による未収入金や貸付金は含まれません。
貸倒損失の事実、対象金額及び処理要件
区分 | 具体的な事実 | 対象金額 | 処理要件 |
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法律上の貸倒れ |
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切り捨てられることとなった部分の金額 | 損金算入が強制される (会社の処理がなくても税法上は損金算入) |
債務免除の通知をした金額 | |||
事実上の貸倒れ | 債務者の資産状況、支払能力などからみて、全額の回収ができないことが明らかになったこと(担保物のない場合に限る) | 金銭債権の金額 | 損金経理が必要 |
形式上の貸倒れ |
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売掛債権の額から備忘価格を控除した金額 | 損金経理が必要 |
※書面による債務免除の場合は、債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その弁済が受けられないと認められる場合に限られます。
金銭債権の一部貸倒れ
上記の事実上の貸し倒れについては、金銭債権の全額が回収不能である場合に限られています。
したがって、一部回収不能の場合は貸倒損失の計上は認められませんが、一定の要件に該当する場合には、貸倒引当金(個別評価金銭債権にかかるもの)の繰入れが認められます。